「今度小学生になるのに、発達障害のことをどうやって理解してもらおう。。。」
「新しい先生にどうしたらうちの子のことを少しでも早く理解してもらえるかしら?」
こんな疑問にお答えします。
〇記事の内容
・発達障害のある子どもを理解してもらうための紹介文の書き方と内容について
・紹介文を渡す相手の選び方
この記事を書いている私は、自閉症スペクトラムと診断された6歳の男の子の母です。
就学に向けて実際に取り組んできたことをもとに、やって良かったことをまとめています。
発達障害のある子どもを理解してもらうためにできること
- 子どもの紹介文(取扱説明書)をつくる
- 子どもと関わる方とはなるべく多くコミュニケーションをはかる
- 可能な限り、多くの療育機関に診てもらう&療育施設に通ってみる
子どもの紹介文(取扱説明書)を作る
⇒少しでも早く子どものことを理解してもらうためにもっとも有効な方法だからです。
家電を購入すると必ずその器械の取扱説明書がついてきます。説明書を読まなくてもだいたいわかるけれど、「あれ?なんか変だな?」と思った時は読んでみようと思いますよね?
すると、その器械が何をする器械で、どうやって使うのか?特徴や使用方法、また故障かな?と思ったら試してみる方法とそれでも困った時の連絡先までが丁寧に細かく記載されています。
つまり、はじめて我が子を預ける相手に少しでも早く理解してもらうために、子供の取扱説明書を作るのです。
できれば事前にお渡ししてサラッと目を通しておいて頂くようにお願いしてみましょう。
実際教育していくうえで問題行動が起きた時「この子何でこんな行動してるんだろう?」と思われずに、「あそこに書いてあったのはこういうことなんだな」と頭の片隅にあれば、理解してもらえることもあるはずです。
紹介文(取扱説明書)の書き方
≪表紙≫
表紙には「○○ ○○の紹介」と記載します。
子供の顔写真や描いた絵などを載せると、よりその子をイメージしやすくなるのでおすすめです。
1⃣ 両親より ⇒ ここでは、なぜこの紹介文を作成したのか、子供への想いや指導者へお願いしたいことなどを記載すると良いでしょう。
※大切なのは両親の愛情が読み手に伝わるように書くことです。
2⃣ プロフィール⇒名前・性別・生年月日・診断名など(家族写真を載せるのもいいですよ♪)
- 通っている施設(過去に通っていたものもすべて)
- 性格
- 成長発達
- 好きなこと
- 苦手なもの
- 生活リズム
3⃣ 現時点の発達状況
※知能検査などしていたらその情報を加えると伝わりやすいです
- 知能
- 感覚
- コミュニケーション
- 興味や関心
- 性格や行動の特徴
⇒ひとつひとつ事例をあげて、「こんな時にこういう行動になった。でもこういう風に対処したら落ち着いた」と具体的に書くとイメージしてもらいやすいです。
例えば、「体育館のように人が大勢集まって音が響きやすい環境が苦手です。でも前もって「何時になったら体育館に行くよ」と説明しておくこと、列のいちばん最後にしてもらったり、先生に手をつないでもらうと緊張が和らぎます」という風に実際に今まで経験したことを具体的に載せると分かり易いです。
文章で分かりにくいものや、得意なものが例えば工作や絵だった場合には、それを画像にして載せましょう。
4⃣ 家庭での取り組み
ご家庭で取り組んでいるものがあれば、どんなことをどんな目的でやっているのか?実際の子どのもの反応や成長はみられているのか?ということを記載します。
例えば我が家では、
❝作業療法❞
作業療法の先生にアドバイスを頂き、バルンポリンを朝晩300回ずつ取り組んでいます。
これをする目的は、体幹が鍛えらえることと脳に振動を加えることで緊張や興奮が落ち着いてきたり、姿勢が整い集中力も持続しやすくなるためです。
実際に息子は始めてから1~2か月ほどで食事や学習、ピアノなど30分位なら姿勢を崩すことなく、座っていられるようになりました。
などなど具体的に書きます。
❝ピアノ❞
❝学習❞
5⃣ 専門家からのアドバイス
医療機関や療育施設などの専門家からの我が子に対するアドバイスを頂いている場合は、それを詳しく記載しましょう。
以上です。
紹介文を作る時のポイント
- 愛情が伝わるように書くこと。
⇒できないことばかりではなく、子どもの良いところや少しずつでも成長しているところもしっかり伝えましょう。
「こんなに大事にされている子だから、我々も大切にしてあげよう、理解してあげよう」
そんな風に思ってもらえるような内容にすることが大切です。 - 書きすぎないこと。
⇒「あれもこれも伝えたい!」という気持ちは分かりますが、取扱説明書が分厚いとあまり読む気がしませんよね?
でもうすいと取り敢えず読んでおこう♪という気になります。
大切なことは読み手が気軽に手軽に読める見栄えと内容であることです。
(因みに息子の紹介文は15ページです。両面印刷でまとめているので、薄くてサラッと読めて好評でした(o^―^o))
障害を隠さず、子どもと関わる方とコミュニケーションを図る
⇒障害をオープンにするメリットは、周りがフォローしてくれることが増えるからです。
さらにトラブルが起きた時にも周囲とのコミュニケーションが良好であり、事前に子どもの特徴を伝えておくことで受け入れてもらいやすくなります。
発達障害のある子はトラブルを起こしやすいです。トラブルが起きてから対処するよりも、こちらから障害があること、どんなことが苦手で、こんなことがまだできないということを、最初の時点でこちらから周りに伝えておきましょう。
事前に伝えておくことで、例えば暴言や叩いてしまった時に「何この子!」と思われずに、「○○君、まだ言葉で話すのが難しくて手が出ちゃうんだったな」と理解してもらうことができます。もちろんダメなことはだめなので、親も子供も一緒に相手の方へ謝ることは大切ですが、その際にも受けて入れもらいやすいです。
因みに息子は言葉の理解が遅く、他害(叩いたり蹴ったりする)が続いたのでトラブルも多かったです。
ですが、「今こういうわけで練習しているんです。少しずつですが改善しているので、長い目で見ていただけたら幸いです」という風に、毎回お相手の親御様にお願いしていましたが、いつも皆様快く受け入れて下さいました。
それはやはり最初に息子のことを公表したこと、色々な施設に通って頑張っていること、保育園の先生も協力してくれていること、そして実際に息子が少しずつでも成長していることを理解してくださっているからだと思います。
息子が何かしたときに、私に変わって上手に叱ってくれたり、誘導してくれたりするママさんもいますし、
「保育園で今日先生から○○の報告があったみたいだけど、ママ知ってる?」という風に、息子の理解力を気にかけて教えてくれるママさんもいます。
オープンにすることで、息子を気にかけてくれる人が増えるのは親としても本当に嬉しいし有難いことです♪
多くの医療機関に診てもらう&療育施設に通ってみる
⇒相性の良い先生や子どもに合った取り組みをみつけるためです。
医療機関によって先生も違えば、診断や治療&取り組み方針も違います。
療育施設も同じで、担当の先生や取り組み内容、作業、心理、運動など色々あります。
どれもこれもすべては通えないですし、フィーリングの合う先生もいればなんだか今一つの先生もいます。
できるだけ多くの場所に行ってみて、会ってみる。雰囲気を感じてみる。取り組みを取り入れてみることはとても大切です。
そしてその中から、本当に合った所に通ってみましょう。
施設によって通う頻度はそれぞれ違い、週に1回のところもあればひと月に1回のところもあります。
病院の良いところは子どもの状態によって薬剤が必要な時に処方してもらえることですね。
≪我が家は実際に通ってみたところが7か所で、今も継続して通い続けているのが以下4か所≫
- 作業療法(学童+施設)
- 運動療法(学童)
- 心理(施設)
※多くの専門機関の方に助言を頂くことで、学校の先生や子どもに関わって下さる発達障害を良く知らない方にも分かり易く説明しやすくなります。
また、これだけ頑張ってるんだから応援してあげたいなって思ってくださる方も実際たくさんいらっしゃいます。
パフォーマンスするために通うわけではありませんが、「がんばってるんだよ」って周りに知ってもらうことはとてもプラスになるのは事実です。
紹介文を渡す相手の選び方
⇒誰にでも渡すのはNGです。
≪紹介文を渡す相手≫
- 担任の先生
- 保健室の先生
- 特別支援級や通級の先生
- スクールカウンセラーの先生
- 学童の先生
- (お習い事の先生)
紹介文を渡す相手は基本的には子どもが関わる方です。
ですが、中には「重たい」「そこまでできないよ」という気持ちや、子どもに興味を持たずに目を通してくれない人がいるのも現実です。
できれば担任の先生には事前に渡したいところではありますが、実際に合った際に「この人なら興味をもって読んでくれるかな?」という雰囲気を見極めて渡すようにしましょう。
もしも担任の先生とフィーリングが合わなかった場合には、通学級の先生に橋渡しをしてもらったり、最初は保健室の先生とコミュニケーションをとったり、慌てずに少しずつ歩み寄っていけばいつかタイミングは訪れます♪
おわりに
発達障害の息子を持ち、本当にトラブル続きの幼児期を過ごしました。
「子育てって、人に誤って回ることなのかな?」と泣きながら歩いたことも数え切れません。
でもそれ以上に、周りに支えてもらえたことへの感謝と周囲の協力なしではとてもここまで息子は成長していなかっただろうということも実感しています。
小学校の先生はたった一人で30人の子供たちを相手にします。今までのように子供が大好きという前提で関わってくれるような方ばかりでもありません。
(※小学校の先生にも素晴らしい方は本当にたくさんいらっしゃいますが、そういう方ばかりじゃないのも事実です)
せっかくここまで愛情いっぱいに育ててもらった我が子を、小学校に行った後放置されたくない。
手がかかって煩わしい子と思われたり、無視されたりしたくないという想いで、だったらどうしたら息子を少しでも理解してもらえるだろう?と考えました。
作業療法の先生からのアドバイスでこの「子供の紹介文をつくる」という取り組みをはじめ、息子を良く知っている保育園の先生や心理などの先生方、ピアノの先生にも助言を頂き完成させました。
親からだけの偏った見方ではなく、色んな視点から見た息子の本当の姿が改めて親である私も知ることができました。
息子にこれから関わって下さる方に向けて作ったものですが、息子がここまで成長するのにどれだけの人の愛情に包まれていたのかを知り、改めて感謝の想いでいっぱいです。
その意味でも作って本当に良かったと思います。
これから小学校に上がるお子様を持つご両親や、なかなか担任の先生に理解してもらえない我が子をどうやったら知ってもらえるだろう?と悩んでいる親御さんの参考になれば幸いです。